覆面調査と顧客満足度調査は何が違う?目的に合わせて賢く使い分けよう!
インターネットの検索で「覆面調査」や「顧客満足度調査」と検索をかけると調査員の求人や調査専門の会社などが数多くヒットします。多くの企業や店舗が実施するこれらの調査にはどのような違いがあるのでしょうか。この記事ではそれぞれのメリットやデメリットなど、調査の実施を考えている方向けに、ポイントを押さえて紹介しています。
覆面調査を実施するメリット・デメリット
覆面調査とは、ミステリーショッパーとも呼ばれる覆面調査員がお客さんとして店舗を訪問し、接客態度や衛生面などを一般のお客さんと同じ目線で評価、報告する調査手法です。調査を行うことで店舗の現状を把握して、得られた情報から質の向上を行うことが大きな目的となります。
もっともポピュラーな覆面調査といえば、レストランなどの格付けに使われる、一つ星や三つ星のミシュランガイドではないでしょうか。覆面調査を実施するメリットは、特定のポイントなど細かい状況を客観的に把握できる点です。
たとえば、集客や売り上げに伸び悩む店舗が、その原因として「料理の味がよくないのか」「料金設定が高いのか」と仮説を立てていても、調査の結果「ホール内でスタッフ同士が世間話をしているなどダラダラしている」「エアコンにカビが生えていて衛生面が気になる」などの予想とは異なる意見が得られるかもしれません。
デメリットとしては、調査員によってとらえ方が異なる点と、調査にコストがかかることから、大量のデータを集めるには不向きといえます。ただ調査を行う前の段階で、調査員の選定に年齢や性別などの制限を設けたり、調査するポイントをある程度絞ったりすることで、調査の結果を効果的に得ることも可能です。
顧客満足度調査を実施するメリット・デメリット
「顧客満足度ランキング1位!」などの文言を、インターネットやテレビの広告で目や耳にする機会は多いのではないでしょうか。顧客満足度とは、顧客が商品を購入、あるいはサービスを利用したときに感じる「好き」や「次も利用したい」といった満足感を数値化したものです。
この調査方法の最大のメリットは実施のしやすさです。お客さんに来店してもらわなくてもインターネットや郵送、電話などでの調査が可能なことから、低コストで大量のデータを集めることができます。
ただ、調査によって得られるデータは「20代女性より40代女性のほうがこの商品を好む傾向がある」「女性よりは男性のほうがこのサービスのリピート率が高い」などの全体的な評価のみで「40代女性がなぜこの商品を買ったのか」「男性はこのサービスのどの点によさを感じるのか」といった細かい情報までは把握できません。
覆面調査と顧客満足度調査は目的に合わせて使い分けることが大切
調査の目的が「この店舗の売り上げが下がった原因を知りたい」「新規オープンした店舗の集客が伸びない理由を知りたい」などであれば覆面調査が適しています。
また「この商品を購入したお客さんのリピート率を知りたい」「このサービスを主に利用している年齢層を知りたい」などの目的であれば顧客満足度調査が適しています。
それぞれの調査は手法が異なることから、得られる情報の質も違うでしょう。そのため、調査を実施する企業や店舗のニーズを明確にすることが大切です。また、必要に応じて覆面調査と顧客満足度調査を併用することで、よりニーズに合った情報を得ることもできます。
覆面調査・顧客満足度調査を実施する際の注意点
覆面調査を実施する際には、具体的な仮説を立てることが重要です。たとえば「売り上げが伸びない原因を知りたい」という目的に対し「接客に問題があるのかもしれない」「料理の味に問題があるのかもしれない」などの抽象的な仮説では、効果的な分析結果を得ることができません。
「ホールスタッフの表情や声かけにお客さんは不満を感じているのかもしれない」「店舗がターゲット層にしている年齢層のお客さんには、この料理の食感が合わないのかもしれない」など具体的な仮説を立てることで、お客さんとの感覚のズレを認識しやすくなります。
また、覆面調査の実施に対して、現場で働くスタッフは多少なりともストレスを感じてしまいます。調査の目的が現状把握と質の向上であることを丁寧に伝え、調査後に結果を共有する際には必要以上にプレッシャーを与えないよう、伝え方には注意が必要です。
顧客満足度調査を実施する際には、お客さんが分かりやすく回答しやすい内容にすることが重要です。調査の方法として満足度の度合いを5段階、または7段階で区切った評定尺度やSNSでよく見かける2段階の評価(グッド/バッド)がよく使われます。
また、調査の目的によっては回答者の性別や年齢、職業などの属性情報の収集も必要です。最後にどちらの調査にも共通していえるのは、調査結果をもとにした改善の実施を行うことです。
せっかく集めた情報もやりっぱなしでは意味がありません。得られた情報を分析して、お客さんとの感覚のずれを修正するよう努めることが、これら調査の最大の目的となります。
覆面調査と顧客満足度調査。これらの調査を自社で行うのもひとつですが、やはり調査は専門業者に依頼することをおすすめします。豊富な知識や経験を持つプロだからこそ得られる情報や、何より客観的な視点が重要になる調査です。多くの企業が顧客サービス向上に努める現代社会において、これらの調査はなくてはならないものなのかもしれませんね。